西垣林太郎のピンポンカラーなブログ
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00:59 07月07日   [木]
ギターの弦の選択について(その2:2・3弦)

先の1弦についての記事では、ナイロン系優勢の書き方になってしまったのですが、主旨としてはナイロン系が絶対に良いという訳では無く、楽器、奏者との相性もあると思っています。あくまで歴史的な流れとして高音弦についてナイロン系が優勢になった経緯を洗い出してみようとしました。

引き続き、2弦と3弦についてです。出た当初は「特殊な弦」という印象のナイルガットも、最近はニュー・ナイルガット、スーパー・ナイルガットとヴァージョンが上がるにつれ、ナイルガット弦をナイロン弦やフロロカーボン弦と混在させて使うことも可能になってきたと思います。また、ナイロン弦の多様化、フロロカーボン弦も何種類か出たことにより、より違和感無く複数の素材の弦を混ぜることが可能になってきています。例えばグランドハープでは低域に巻弦、中域にガット弦、高域にナイロン弦を張るのが主流でしたのでそう特別なことでは無いと思います。それにも関わらず、多くのセット弦で1〜3弦が単一素材なのはやや不思議なことです。

ちなみに、ナイロンは化学的に種類を作り分けることにより特性を変えることは可能です。フロロカーボンことポリフッカビニリデン(PVDF)は結晶構造(α,β,γ)の違い、あるいは共重合や、その他の加工の違いなのでしょうか、ブランド毎に若干の違いを感じます。釣り糸ではPVDF芯で周りにPE(ポリエチレン)を纏ったものもあるようです。特にギター弦では弦会社(メーカーかさえ不明な場合もあるので)はそういった細かい情報は出したがらない傾向があります。釣り具屋さんやバトミントンやてにすのガットコーナーに行くと、新規性のあるテクノロジーを宣伝文句をパッケージなどに書いている製品を見かけるのですが、ギター弦でそのようなものは随分と少ないように思います。

いずれにしても、1〜3弦すべてを同じ素材、ブランドの弦にする必要性は年々減ってきています。1弦では利点となったナイロン弦の太さですが、3弦では欠点となることがしばしばあります。音が詰まりやすい、減衰が早い、音程が悪いことなどです。その場合はフロロカーボン系の弦やナイルガット系の弦にすることで改善されることもあります。

もう一つ2弦と3弦の選択で考えなければいけないのは、音色についてです。2弦と3弦の音色は音楽性に大きく影響します。しばしば大事なメロディーは1弦で弾く代わりに2弦以下のハイポジションで弾くケースがあります。近年の低音弦(4・5・6弦)の高性能化で、低音弦が高音弦の響きに共鳴しやすくなった影響もあり、1弦もそうなのですが、特に2・3弦の音色は重要になっていると思います。もっとも、比較的落ち着いた低音弦を使う場合はそれほど神経質にならなくても良いと思います。個人的には低音弦にはサバレスのトマティート(フラメンコ用の弦です)をあるときから使い始めのですが、自分の楽器の場合は高音弦にフロロカーボン系の弦の響きの欠点がより強調される傾向があり、あまり高級でないリバーブがかかった音になるように感じました。しばらく色々と試していたのですが、2弦はスーパー・ナイルガットにすることで解決しました。それは組み合わせ次第、また楽器によって色々な相性が考えられるはずなので、一般化はできないと思うのですが、一例として挙げてみました。

そういう訳で、個人的には2弦と3弦はAquilaのスーパーナイルガットのクラシック・バンジョー用(公式サイトにも情報が載っていないような気がして正体がやや謎です)の弦を使っています。恐らく、一部のギター用に含まれているものと同じなのですが、バンジョー用の3弦は簡易な自分での測定で0.78mmなので、恐らくAmbra800(Aquilaの19世紀ギター用の弦)と同じくらいな気がするのですが、以前Ambra800をモダンギターに用いたときは流石に細すぎたので、なぜ今回バンジョー用の弦でフィットしたのか不思議に感じていて、追加で調査してみます。

以前、Aquilaのアコースティック・バンジョーの弦はニュー・ナイルガット弦にも、レッド・ナイルガット弦にも5弦は巻弦が使われていたのですが、スーパー・ナイルガットのセットはナイルガット系の弦に変わっているようです。もっとも、元々同封されていた巻弦は古楽器(バロックギターやクィンテルナ)にピッタリ使えるコースがあったので、非常に重宝していたのですが。その新しいナイルガット系のバンジョーの5弦は赤茶色の弦です。金属の粉末か何かを練り込んでいるのでしょうか、確かレッド・ナイルガットはそうだったと思います。ただ、表面はわずかにザラザラしているのですが、レッド・ナイルガットほどではなく、色もやや異なります。クラシックギターの3弦として私にとっては高性能なように感じます。ゲージは手元の測定で0.91mmです。

追記:上記のAquilaの赤茶色の弦はやはり銅の粉末を練り込んだNylgutのようです。歴史的には銅の粉末だけでなく、鉛や水銀にも漬けていた(?)ようですが、さすがに現代ではそれはしないはずです。詳細はこちらにあります。ギター弦としてはRubinoという製品名で発売されているようですが、日本には入ってきていないように思います。


その前はおそらく10年間くらいかもしれないですが、2弦にはサバレスのアリアンス赤、ときどきハナバッハのゴールディンを、3弦にはシーガーの24号またはサバレスのアリアンス赤を使っていました。そのときの1弦はハナバッハの黄か、同じくフラメンコの黄を使っていました。

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