西垣林太郎のピンポンカラーなブログ
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00:15 03月23日   [木]
Narvaezの楽器指定の解読

16世紀スペインの代表的なビウエラ奏者の一人、ナルバエス(Luis de Narváez)の楽譜(タブラチュア)には各曲の冒頭に不思議な指示書きがされています。一見では何のことか分からないのですが、よく見ていると段々と分かってきます。一口にビウエラと言っても色々な大きさ・調弦の楽器があったので、どの楽器を使うかの指示書きがされているのですが、その解読のポイントを備忘録として書いておきます。

ナルバエスの曲はその曲集 "Los seys libros del Delphin de musica (1538)" によって今日まで残っています。表紙にはこんな感じの挿絵があります。大航海時代を感じさせます。

1538表紙


まずは曲集の前書きの説明に色々と説明があるのですが、その中でも弦の番号の呼び方を確認しておきましょう。

string.jpg


次に、Solmisazioneで用いられる音の名前も確認しておきましょう。

Gesolreut = G sol re ut (sol)
Fefaut = F fa ut (fa)
Elami = E la mi (mi)
Delasolre = D la sol re (re)
Cesolfaut = C sol fa ut (do)
Befa / Bemi = B fa / B mi (si♭/ si)
Alamire = A la mi re (la)


これらのことを踏まえて、例えば有名な "Mille regrez" の解読です。

mille_regres.jpg

・5コースの3フレットはFa
・3コースの1フレットはDo

と書いてあるようです。つまり、1コースや6コースの開放弦はLaということになり、いわゆるAのビウエラの曲ということになります。
タブラチュアの4コースにネウマ譜などで使われたのと同じような形のヘ音記号が、同じく2コースにハ音記号が書かれており、それぞれのコースにFaとDoの音があることと合います。


次に、これまた有名な「牛を見張れの変奏曲(Quatro diferencias sobre Guarda me las vacas)」も見てみましょう。

lasvacas4.jpg

Mille regrezと全く同じで、やはりAのビウエラです。



実は「牛を見張れの変奏曲」には先の4つの変奏曲以外に、別の3つの変奏曲(Otras tres diferencias hechas por otra parte)があります。

las_vacas.jpg

・4コースの3フレットはFa
・2コースの1フレットはDo

と書いていますね。つまりこちらはEのビウエラになります。同じく2種類の音部記号もそれぞれのコースに書かれています。

ビウエラ二重奏で異なる調弦の楽器を組み合わせるときは、このように楽器の調弦を指示することは必要だったことは分かりますが、これらのソロ曲でも全ての曲について調弦(使うべき楽器)が指示されているのは、やや不思議にも感じます。どのような意図があったのでしょうか?

22:24 10月17日
nao
突然のメールすみません。ビウエラを弾き始めたばかりの者です。目からウロコの記事でありがとうございます。質問があります。ラのビウエラなら、なぜ基準音はラとは書かず、3フレットや1フレットの音名を書いたのでしょうか?単にヘ音記号ハ音記号に寄せたかったからでしょうか?そうなら、レのビウエラだとフレットの数字がずれるということですよね?不躾で申し訳ございません。ご多忙とは存じますがご返信の程何卒宜しくお願い致します。
23:01 10月17日
Rintaro Nishigaki
書き込みありがとうございます!1コースや6コースを基準音だと必ずしも考えていなくて、おっしゃる通り「ヘ音記号ハ音記号に寄せたかった」のではと個人的には考えています。見た目も恰好良いですし…でも確かに不思議ではあるのです。また何か分かったら書いてみます。

例えばReのビウエラですと以下の記述になっていると思います。

En la tercera en el primer traste está la clave de fe fa ut.
En la segunda en el tercer traste está la clave de ce sol fa ut.
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