西垣林太郎のピンポンカラーなブログ
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09:57 04月28日   [金]
楽器選びについて



こんな大雑把なツイートをしたので少し補足で説明です。


・「音で選ばないけど音で切り捨てる」

新作でも旧作でも、楽器屋さんなどにある状態では楽器も寝ている状態で、ギターの場合は新作で3〜5年、旧作で1〜2年は本領を発揮してくるまでに時間がかかります。あるいは弦の選択も適切でないこともあります。ですので、現在の音で選んでしまうのは少し残念で、かといって何年も先の音を見越せるかというと、少なくとも私には難し過ぎます。ただ、どう化けてもどうにもならなさそうな音というのはあるので、そういうのは除外します。具体的な例では6弦があまり鳴らない楽器というのは実は段々と鳴るようになることがありますが、3弦の方はより難しいです。ただ、それも一概に言える訳では無く、楽器がどういう反応をしているかの方が大事です。


・「全体の印象と細部の作りを重視」

では、音がそれほど頼りにはならないのであれば、やはり見た目(と値段)しか無いですよね。そもそも素晴らしい木工技術で作られた楽器は例え音が大したことなくとも、手にしていて気分の良いものです。「それは何か違うのでは?」という声も聞こえてきそうなのですが、愛着の湧く楽器に細かい調整、その時期に応じた適切な弦の選択を施しているうちに、徐々に育ってくるということはあります。育たないこともあるでしょうが、それはそういうものです。


・「故障や修理歴は必ずしもマイナスポイントでないけど理由を考察」

短期的な転売などを考えないのであれば、大抵の故障歴や修理歴は大丈夫です。ただ、構造的な欠陥などで繰り返し起こりそうな故障、楽器の元々の欠陥に起因する故障などもありますので、その故障歴や修理歴がどのような理由で発生したのかは調べる必要はあります。丁寧な修理がなされている楽器というのは、それだけの価値が認められていた楽器だという推薦書にもなり得ます。いい加減な修理がなされているものは、たまたま駄目な職人に修理されてしまった、ということもあるので何とも言えないです。


・「師匠や好きな奏者や知人が使っているという理由だけで買わない」

ただの個人的な経験から書いてます。詳しく書いてしまうと色々と…


・「他人のアドヴァイスを信じない(え?)」

同上…

00:15 03月23日   [木]
Narvaezの楽器指定の解読

16世紀スペインの代表的なビウエラ奏者の一人、ナルバエス(Luis de Narváez)の楽譜(タブラチュア)には各曲の冒頭に不思議な指示書きがされています。一見では何のことか分からないのですが、よく見ていると段々と分かってきます。一口にビウエラと言っても色々な大きさ・調弦の楽器があったので、どの楽器を使うかの指示書きがされているのですが、その解読のポイントを備忘録として書いておきます。

ナルバエスの曲はその曲集 "Los seys libros del Delphin de musica (1538)" によって今日まで残っています。表紙にはこんな感じの挿絵があります。大航海時代を感じさせます。

1538表紙


まずは曲集の前書きの説明に色々と説明があるのですが、その中でも弦の番号の呼び方を確認しておきましょう。

string.jpg


次に、Solmisazioneで用いられる音の名前も確認しておきましょう。

Gesolreut = G sol re ut (sol)
Fefaut = F fa ut (fa)
Elami = E la mi (mi)
Delasolre = D la sol re (re)
Cesolfaut = C sol fa ut (do)
Befa / Bemi = B fa / B mi (si♭/ si)
Alamire = A la mi re (la)


これらのことを踏まえて、例えば有名な "Mille regrez" の解読です。

mille_regres.jpg

・5コースの3フレットはFa
・3コースの1フレットはDo

と書いてあるようです。つまり、1コースや6コースの開放弦はLaということになり、いわゆるAのビウエラの曲ということになります。
タブラチュアの4コースにネウマ譜などで使われたのと同じような形のヘ音記号が、同じく2コースにハ音記号が書かれており、それぞれのコースにFaとDoの音があることと合います。


次に、これまた有名な「牛を見張れの変奏曲(Quatro diferencias sobre Guarda me las vacas)」も見てみましょう。

lasvacas4.jpg

Mille regrezと全く同じで、やはりAのビウエラです。



実は「牛を見張れの変奏曲」には先の4つの変奏曲以外に、別の3つの変奏曲(Otras tres diferencias hechas por otra parte)があります。

las_vacas.jpg

・4コースの3フレットはFa
・2コースの1フレットはDo

と書いていますね。つまりこちらはEのビウエラになります。同じく2種類の音部記号もそれぞれのコースに書かれています。

ビウエラ二重奏で異なる調弦の楽器を組み合わせるときは、このように楽器の調弦を指示することは必要だったことは分かりますが、これらのソロ曲でも全ての曲について調弦(使うべき楽器)が指示されているのは、やや不思議にも感じます。どのような意図があったのでしょうか?

こちらのコンサートの連動記事です。

2016年7月24日(日曜日)15:30開演
piano : 筒井一貴 guitar : 西垣林太郎
Novecento 「もう一つの20世紀」
2500円 ♪モラヴィアワイン付き♪
お問い合わせ・ご予約 03-6721-9613(ピアノプレップ)
http://www.pianoprep.jp/

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Novecento「もう一つの20世紀」 特集記事の目次へ

Enzo Borlenghi
エンツォ・ボルレンギ
(1908 - 1995)

 作曲家の父のもと音楽を始めます。弟に詩人のアルド(Aldo Borlenghi)がいます。フィレンツェの音楽院で作曲をゲリーニ(Guido Guerrini)やアルファノ(Franco Alfano)に師事し、のちにフィレンツェの音楽院の講師、ルッカの音楽院の学長を歴任します。フィレンツェ派の作曲家は当時、王道とされたようなのですが、ボルレンギに関してはさほど知名度は上がらなかったようです。もしかすると、ピアニストや教育者として優れていたようで、作曲の作品数が少ないのかもしれないですが、知られている作品は歌心と推進力を持ち合わせた魅力的な多いです。カンタータや合唱曲も書いており、合唱曲の "Immagini lontane" はこのような曲です。

ギターとピアノのためのファンタジアはジャズの要素も織り交ぜたリズム感の溢れる曲です。

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