西垣林太郎のピンポンカラーなブログ
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こんにちは。ツイッターでも少しだけ告知したのですが、Dusan Bogdanovicの "Counterpoint for Guitar with Improvisation in the Renaissance Style and Study in Motivic Metamorphosis" を題材に月一回の二時間程度のワークショップを予定しています。今のところ火曜日の夜を予定していますが、もしご希望があれば週末に並行の開催も予定しています。初回は3/13(火)から始めたいと思っています。場所は大江戸線の赤羽橋徒歩5分(神谷町・麻布十番・芝公園10分)くらいです。費用3,500円/回を予定してます。

books-bogdanovic-counterpoint-guitar

テキストは英語・イタリア語の併記になっていて、三つの章があります。

I- Counterpoint in two voices, counterpoint in three voices.

II- Improvisation in the Renaissance style, scales & fingerings, improvisation with Cantus Firmus.

III- Study in motivic metamorphosis, motivic interpretation & variation, dynamic transformation.

一章はFuxなどの伝統的な対位法的な考えを、教会旋法などの音階も絡めて、もう少し現代的な視点で噛み砕いています。また題材に多く用いられている16世紀を中心としたリュート・ビウエラ・ギター・鍵盤などの器楽曲とも矛盾しないようにも配慮されています。また二声と三声が中心になっています。

二章は「即興」がテーマで、一章の「対位法」を基礎にした即興が多いです。通常の対位法の学習は自分で対位法の楽譜を書く練習を繰り返すことによって理解を確認し、身につけていくことが多いのですが、その代わりに「即興」をアウトプットの題材に用いていると考えてもよいかもしれません。

三章はこれまでのことや、その他の要素をどのように構成して必ずしもルネサンス的とは限らない曲を作るかという「応用」です。もちろん作曲する場合に役立つとBogdanovicの曲を理解するのに役立つ部分です。この章に関しては特にワークショップ的に扱う題材も少ないので、自習(?)扱いで今回のワークショップの対象外にすることを考えています。

こういったアプローチによる学習をハーモニー(和声)・コードの理論などと並行してすることは楽器を初めてすぐの方でも、長く楽器を弾いている方でもどちらでもできますし、非常に有用なことのように思います。

詳細についてご興味のある方はお問い合わせいただけましたら幸いです。

自分の本棚を中心に適当です(汗)

Downing A. Thomas
Music and the Origins of Language: Theories from the French Enlightenment (New Perspectives in Music History and Criticism)
http://amzn.to/2hmzXG7

Bruce Haynes
The End of Early Music: A Period Performer's History of Music for the Twenty-first Century
http://amzn.to/2iGoSMt

Dr Francesco Pelosi / Sophie Henderson
Plato on Music, Soul and Body
http://amzn.to/2AlVaUk

Clive Brown
Classical and Romantic Performing Practice 1750-1900
http://amzn.to/2iFTfTk

Robert Donington
The Interpretation of Early Music
http://amzn.to/2iIrv0j

Lewis Lockwood
Music in Renaissance Ferrara 1400-1505: The Creation of a Musical Center in the Fifteenth Century
http://amzn.to/2hmbGjA

Joaquín Nin Castellanos:
Idees Et Commentaires
http://amzn.to/2iFuUxb

Philippe Lescat, Jean Saint-Arroman
La musique occidentale, 108 plans - Du chant grégorien à Béla Bartok, contexte historique, point de mémoire, compositeurs, oeuvres importantes, formes, caractéristiques

Robin Stowell
The Early Violin and Viola: A Practical Guide (Cambridge Handbooks to the Historical Performance of Music)
http://amzn.to/2Amhxct

Emile Bosquet
La musique De Clavier: et par extension de luth

13:04 11月02日   [木]
Rob MacKillop考

人気ユーチューバー(?)のRob MacKillop氏が「歴史的」ではないとされているリュートを用いて、(恐らく)そのメーカーとのタイアップでリュート曲を演奏した動画をアップロードしたことが一部で批判されています。「間口」を拡げるべきか、「正道」を行くべきかの議論は絶えず存在するので、今更は特別な興味はないのですが、マキロップ氏にの活動方針についての誤解も生まれているので少し書いてみます。

マキロップ氏が道を踏み外したかのような言説は明らかに誤りで、彼は最初から「間口」を拡げてより多くの人が、特に彼の専門のフランスやスコットランドのリュート音楽にアプローチすることを念頭に活動を続けてきています。例えば上の動画のようなスコッランドの主に17世紀のリュート曲などを、さほど調弦に必然性のないOpen Dチューニング(クラシックギターではほとんど使われず、ケルト系やカントリー系などの音楽でしばしば使われる)にアレンジして楽譜を多く出版しているのは、クラシックギター奏者だけでなく、アイリッシュ、ケルト系の奏者にもこういったレパートリーを開拓して欲しいということでしょう。もちろんクラシックギターでも同様のレパートリーを演奏しています。

少し前に、19世紀ギターのパノルモのコピーを持ってギターを習いたいという方が来られて、話を伺うとマキロップ氏のyoutubeを見て、その19世紀ギターの音色と特にスコットランドのリュート音楽に感銘を受けて、是非演奏したいとのこと。19世紀のレパートリーも好きなので、楽器の演奏方法の習得は19世紀の教本でするのも良いかも、という方向で話がまとまってお手伝いすることになりました。非常に熱心な方です。

マキロップ氏が多く出版しているOpen Dの調弦で弾くとなると19世紀の教本は使い難いので私も頭を悩まして、スコットランドのリュート手稿譜を一通り目を通しました。スタンダードなリュート調弦のものと、若干のマンドラ譜(調弦は主に2種類)と若干のバロックギター曲があることが分かり、Open Dを使う必然性は感じませんでした。これは一般的にこのレパートリーに関してのOpen Dの使用に否定的な意味ではなく、19世紀ギターを使って、19世紀のレパートリーとスコットランドのリュート曲の両方を弾きたいという彼のニーズに関しての話です。いずれにしても、いくつかの文献にも触れられていたり、あるいは同じ曲が異なる楽器のタブラチュアで残されていることなどから、この辺りの音楽時代がさほど調弦に依存していないということは言えると思います。生徒さんと相談の結果、標準調弦で19世紀の教本やそれ以前の曲を色々として、リュートタブラチュアを将来的に弾くときには3弦を半音下げてリュート調弦と同じ形にする方向になりました。リュート自体にも将来的に興味があるということなので、この形が最善のように思えます。

と話が長くなってしまったのですが、マキロップ氏の活動、特にその間口を拡げる方向は大きな成果を上げているように思います。その一方でマキロップ氏は正道、正攻法のアプローチも多く発信しています。このような方の活動が正しく評価されることを望みます。

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