西垣林太郎のピンポンカラーなブログ
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00:46 06月30日   [金]
正倉院の響き

 「正倉院の響き」というレクチャーコンサートシリーズに2002年から出演し、今年で早くも16年目になります。正倉院の様々な復元楽器を用いた演奏を中心に、当時の音楽文化、その他の背景などを説明しながら展開していきます。ときには正倉院宝物の専門家を招き、様々な角度から千何百年も前の音楽を聞き、さらに想像を膨らましてもらおう、というイベントです。まだいまの形の雅楽が成立する前、言ってみればプレ雅楽の時代の話が中心になり、方響 (ほうきょう)、箜篌(くご)、排簫(はいしょう)など雅楽では採用されなかった楽器もしばしば登場します。そのイベントで私は正倉院復元の四絃の琵琶と五絃の琵琶の演奏を担当し、ギターを演奏することもあります。五絃の琵琶も雅楽には採用されませんでした。この企画で全国の色々な会場に行くのが楽しみで、中には10年連続で主催して下さっている主催者もいらっしゃいます。

 2010年には国宝のほとんどの教科書に登場する有名な螺鈿紫檀五弦琵琶が19年振りに出品され、正倉院展の音声ガイドで自作曲「ゆらぎ1300」の録音が使われました。また、他の美術展でも使われています。

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 2015年には紫檀木画槽琵琶が出品され、その復元楽器を用いた日本最古の琵琶譜「番假崇」の演奏動画がyomiuri onlineに読売新聞の紙面と連動で掲載されました。

(2015年10月20日 左:関西版1面 右:関東版18面 いずれも著作権保護のために解像度を下げています)
2015-10.20-yomiuri_low 読売関東カラーlow

 日本最古の琵琶譜「番假崇」は成立が8世紀前半とされています。その時代推定の根拠も「正倉院の響き」のレクチャーの中で説明されます。楽譜は漢字で書かれており、押さえる場所が指示される所謂タブラチュアの形式になっています。リズムは明示はされていません。さあ、この楽譜からどんな音が出てくるのでしょうか。

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 この復元楽器には伝統的な絹絃を丸三ハシモトさんから買って使っています。

 また、この「正倉院の響き」の企画では数少ない千年以上前の曲と自作曲だけでなく、20世紀の伶楽運動によって作られた、一柳慧、石井眞木など日本を代表する作曲家のレパートリーも演奏されます。

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 今年も幾つか公演が予定されていますが、その告知はまたブログを改めたいと思っています。

 もし「正倉院の響き」の開催に興味を持って下さる方・団体さんがいらっしゃいましたら、こちら「CREATIVE TRADITION 創造する伝統 実行委員会」からお問い合わせ下さい。

ギターの弦の選択について(その1:1弦)

ギターの弦の選択について(その2:2・3弦)

に引き続き4弦について書きます。上記の1〜3弦も少し追記しました。4弦は1弦と同様に4〜6弦の低音弦の選択に影響力が大きい大事な弦です。市販のセット弦について調べてみると4弦は5・6弦に比べ張力が大きくなっているものが非常に多いです。これは1弦のところで書いた通り、太くすることで振動の特性を5・6弦に近づける目的もあると思うのですが、もしそれだけの理由なら1弦とは異なり巻き弦なのですから、芯材と巻き線の太さのバランスなどで調整できそうなものです。そうすると別の理由があるのかもしれませんね。ギターはおそらくは19世紀ギターが確立した頃から4〜6弦は金属の巻弦を使っていました。4弦が3弦に比べてある程度はっきりとした音が出るのは元々で、曲もある程度はそれを前提にしていることも多いです。ただ、ガット芯の巻き弦で芯を太く、巻き線を細くしたもの(Gamutなどの製品)は想像以上に落ち着いた音色の4弦なので、きらびやかな4弦だけを想定して歴史を考えてしまうと間違えたことになります。とは言え、おそらく4弦がきらびやかになる傾向はその後強まっていき、現代に至っているようです。特に所謂スペイン的な和音がハーモニーだけでなく大事なリズムを表現する曲では打楽器的な4弦の性能が重要です。

つまり4弦は演奏するレパートリーの傾向によって、3弦との連続性を重視した4弦を選択するか、明るくはっきりと鳴る4弦を選択するかに分かれると思います。個人的には後者を選択するときは室内楽も多く、サスティーンよりはアタックを選択したいときは特にサバレス トマティートの赤を4〜6に張っています。トマティートが出る前はオーガスティンの赤を良く使っていました。

バロック等のレパートリーで3弦と4弦との連続性・均質性が欲しい場合は例えば以下のセットを使っています。
4弦 オーガスティンの黒
5弦 サバレス コラム(corum)の赤
6弦 セシリア LOWまたはLOW-Sまたはサバレス トマティートの赤

トマティートなどのフラメンコ弦がサスティーンが短いと言われることがあり、セットで使う分には個人的にはあまり気にならないのですが、確かにクラシック弦と混ぜると少し気になります。上記のも仮でのセットで、コラムの振動が少し不安定だったり、DogalのDiamanteをまだ試していなかったりしのすので、今後少しずつ入れ替わっていくかもしれません。

 ソルフェージュは個々の楽器による音楽的経験だけでは不足してしまっているかもしれない音楽の基礎力を補うサプリメントのような役割を果たしたり、初めて見る曲からより多くの情報を引き出したり、楽器の練習量が制限される状況でもそれを補う役割を果たしたりと、音楽教育の中で重要な位置を持っています。また、近年のフランスの音楽院などではFormation musicaleという音楽の総合力を高める授業科目の中に組み込まれ、音楽史などとともにその主要な科目になっています。

 フランスの音楽院などのように週に複数の日をそういった授業に当てることは難しいのですが、特にソルフェージュのうち「クレ(音部記号)読み」と「リズム読み」という、楽器演奏のパフォーマンスに直結する部分に焦点を当てて「ソルフェージュの練習会」のようなものを定期的に開催する予定にしています。「クレ読み」と「リズム」に焦点を当ててアンサンブル練習も豊富な本ですので、楽器を使わない初見大会のような会と思って頂いて良いと思います。

 「クレ読み」や「リズム読み」以外にも「視唱」、「聴音」、「楽典」、「分析」、「和声」、「対位法」など大事な分野はたくさんあるのですが、それらはレギュラー講座ではなく随時単発で何か面白い企画を考えられればと思っています。

テキストは日本んでの入手のしやすさ、コスト、多言語(6言語)の対応などを考慮して Jean-Clement Jollet の JEUX DE RYTHMES ET JEUX DE CLES を予定しています。ただ、特に最初の数巻はリズムが比較的複雑なのに対してクレ(音部記号)の進みが遅い目なので、クレに特化した参考書的な副教材として Georges Dandelot の Manuel pratique pour l'etude des cles de Sol Fa et Ut も併せて用いる予定です。

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場所:赤羽橋・麻布十番(東京都港区) 人数等によってその他の港区内の会場になる場合もあります。


費用:毎回レベルの異なる3つの講座(各50分)を開催する予定です。1講座2,500円で追加は1講座につき1,000円の予定です。


日時:初回は6月上旬の予定です。参加者のご都合のできるだけ沿うようにします。場合によって同じような内容のものを平日と週末に開催するかもしれません。


頻度:週と曜日をある程度決めて月に2回くらいを予定しています。


進度:3〜5ヶ月で1巻が終わるくらいだと思います。


レベル:第1タームは1時間目に第1巻、2時間目に第2巻、3時間目に第3巻を予定しています。第1巻は楽譜からしばらく遠ざかってい人でも大丈夫です。2巻と3巻はそれぞれ少しずつ難しくなりますが比較的気楽です。ただ普段の楽器と異なるタイプの楽譜も混ざっていますので全てが簡単過ぎるということは少ないかもしれませんし、アンサンブル的な練習も豊富なのでそより精度の良いアンサンブルを目指して頑張りましょう。


その他:こういった練習・トレーニングは何人かでワイワイできると楽しいですし、できるだけ全ての講座に出席していただくことを考えています。もちろん、時間や音楽的バックグラウンドの関係で1講座や2講座のみの出席にしていただいても大丈夫です。

お問い合わせはメッセージフォーム、ウェブページ経由、メール、twitter、facebookなどで承ります。皆様の参加をお待ちしています。

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